先日『指名手配』を読んだけれど、関連のある過去の作品『死者の河を渉る』、そして『サンセット大通りの疑惑』、『天使の護衛(パイクが主人公)』を読み返していた。パイクが主人公のシリーズは1冊しか訳されていなくて、非常に残念。もっと読みたいのになぁ。

エルヴィス・コールとハリー・ボッシュはどちらもベトナム戦争帰還兵で、おそらく物語が始まったころは同じような年恰好だったんだと思うけど。

ボッシュがそれなりに現実と比例して年を重ねてきて、LAPD を自分から退職(「シティー・オブ・ボーンズ」の最後)→私立探偵→復職(ベテラン刑事の再雇用システムを利用して)→契約満了により退職→現在サン・フェルナンドでボランティアのパートタイムで刑事。娘は大学生。と、しっかりおじ(い)さんになってきているのに対して。

コール&パイクの著者であるロバート・クレイスは「フィクションの世界では現実と年のとり方が違う」という考え方のようで。コールは現在だいたい50歳くらいに描かれていると思う。最新作の『指名手配』ではウォーキング・デッドのTシャツも着てたしね。

実は私は結構このやり方が好きだし、これで良いと思うんだよねぇ。古くはポアロ。もっと最初を若い設定にしておけば良かったとクリスティも思ったらしいけれど。人気が出て作品数は多くなって、時代を重ねていき、老いぼれと言いつつまだそれほどでもなくて。

人気のあるキャラは、年齢は不詳のままで、長〜く作品を楽しめた方が良いじゃん。ねぇ?
特にボッシュが高齢になってしまったしねぇ・・・・。

コール&パイク・シリーズは私は大好きなんだけど、あまり日本では売れなかったみたいで。途中で訳出が止まってしまっているのが本当に残念。もうこれから訳されることは無いだろうしねぇ。

それを思うとボッシュは初期の作品が電子書籍にもなったくらいに安定して売れていることは喜ばしいんだけれど。いかんせん、訳がなぁ。やっつけ感が強い作品には怒りすら覚えるほど。

でも、LA の同じような景観の良い家に住むコールとボッシュがお互いに敬意を抱いてカメオ出演する、というエピソードもグッとくるし。住んだこともない LA に親近感を覚えているのは間違いなくこの2人のおかげだし(主にはコナリー作品のおかげだけど)。

今後もコナリーの作品と、クレイスの作品が(特にコール&パイク)が面白く、かつ継続しますように。そして訳されますように(祈)。

コメント

美藤
2019年7月9日22:26

「夜より暗き闇」でボッシュ50になるかならないか、ってとこだったから、、、いま幾つ?
スカダーなんてもう70代後半だよ。。
シリーズ通して主人公の人生を描いていくと、どうしたって老人になるよねぇ。悲しいけど。

スカダーの場合は、回想という裏技があるんだよね。
「その年ヤンキースは散々だった」、、とか、野球の話がでてきて、「もちろんまだ飲んでいた」なんて続くマットの語りすごい好き。
回想でいろんな事件、書いてくれないかなぁ。ちいさな探偵仕事から始まるスカダーの物語が大好きなんだよね。

はにゃ。
2019年7月9日23:14

>美藤さま
スカダーが70代後半かー。そうだよねー。若い頃のニューヨークを克明に描いているもんなぁ。確かにスカダーには回想も短編という手法もよく合うし、ボッシュにはできない技だよなぁ。私もまだお酒を飲んでいる頃の、バーのカウンターにいる自分とその事件を描写しているスカダー好きだなぁ。今ではすごく少なくなってしまった私立探偵小説の極みの一つだよねぇ。

マット・スカダーはそれなりに冊数は読んだけど、まだ未読の本もあるし、順番に読んでないから余計に穴を把握しきれてない気がするし。一度ちゃんと最初から読み返したいなぁと思いつつ・・・。

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