『マリーの愛の証明』 川上未映子
AmazonのPrimeサービスで無料でDLできたもの。


初々しい少女たちが、愛と存在について言葉をかわす、思索的な短編。

時代設定も、場所もわからない、女性限定の孤児院らしき「ミア寮」が舞台。主人公のマリーは、どうやら父親の虐待から逃れるため、寮にやってきたようだ。マリーは去年のルームメイトだったカレンと恋人どうしだったが、一ヵ月前に念入りに別れ話を積み重ねて別れたばかり。そんなマリーやカレンら寮生は郊外学習と呼ばれるピクニックで、山を登り、湖のほとりへと出かけてゆく。別れは受け入れるし、未練もない、と言うカレンだが、「ひとつだけ」聞いておきたかったことがある、とマリーに問いかける……。

神は存在するのか? 愛とは何か? 彼女たちの思考も、存在も不確かだからこそ、ほんの一瞬、まばゆいばかりの輝きを放つ。ひとつひとつ、大切に言葉を編み上げて綴られた、結晶のような作品。近代文学を思わせるかぐわしい香りがひときわチャーミング。


ちょっと、カズオ・イシグロの「私を離さないで」を想起してしまった。
短編集でなく、短編。

結構好き。

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