寝込んでいる間に、日本文学を読んで。

その後、以前買っておいた『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』というルポルタージュを読んだ。青木理氏の著作。

この本は発売されたときは知らなかったのだけれど、首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗がブログで嫉妬してぎゃーっと触れていたときに、へーーーと思って、古本で買っておいたもの。随分と積読してたな。

でもなんだか中途半端なルポだなぁと気に入らなかった。
周辺調査はしていて、そのあたりはなるほどと思うけれど。なにより、容疑者との接触が少なくて、実像的なものが足りない。

まぁ、そもそも成り立ちが中編のルポを書くためだけだったのが、追加取材となったということだから仕方ないのかな。

小さい県の犯罪だからか、捜査も中途半端だった?という感じですしね。
起訴された2件の強盗殺人についても物的証拠はないしね。
そしてそれに対しての著者の、彼女だけではなし得なかった犯罪ではないか、という「合理的な」疑いも。
ミステリ小説でサイコパスの殺人者に日常的に触れている身としては、いやいやなんぼでも口でうまいこと言って犯行現場に連れて行ってその場で睡眠薬飲ませたら可能でしょ、とあほな感想も持ったり。

(ワタクシは、普段主に翻訳ミステリを読んで「死」や「殺人」や「アメリカ型の裁判」などにいつも「読書」で触れているわけですが、ハードエビデンス/物的証拠がなく、状況証拠だけで有罪と判断することには基本的に反対。特に状況証拠だけで死刑判決になっている事件は、感情的に思うところはあっても、反対と思ってます)

それで文庫化された『誘蛾灯 二つの連続不審死事件』というのに「大幅加筆のうえ、文庫化!」と書いてあったのでkindleでポチってみた。

多少追記されてたけど、大幅かしらねー。
そして、結局、中途半端だったなーという感想はあまり変わらず。
まぁこれはこれ以上はどうにも広がらない材料なのでしょう。

その流れで?というのか、多分アマゾンが『東電OL禁断の25時』酒井 あゆみ著をオススメしてきたので、安いし(¥378)ポチってみた。『円山町東電OL殺人事件の被害者と“夜の渋谷”で“同僚”だった著者が、風俗嬢の立場から事件の「なぜ」に迫る』という説明書き。

まぁ結果から言えばこれも別の意味でイマイチだったんだけど。
これは本人が想像で補い過ぎていて、それが売りなのはわかるけど。
周辺雑記、というたぐいかな。

煽情的な殺人事件のルポってあまり読まないからか、妙に感情/感傷を込めたルポになりがちになってる(佐野眞一の『東電OL殺人事件』もその昔そう思った)、というのがなんとも。

もっと良質のルポルタージュは沢山あるのだろうとは思うけれど、なにせ時間が無くてそこまで手は広げられない。私はやはりフィクションが好きなのだと思う。


そういえば、ちょっと前に読んだ(殺人事件ではないけれど)荻上チキ氏や鈴木大介氏のルポは事実に語らせるという点で優れていたかなと個人的に思ったかな。

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