『五番目の女』

2018年3月16日 読書
ヘニング・マンケル (著)、 柳沢 由実子 (翻訳)

【上巻】父親とのローマ旅行は予想外に楽しかった。休暇が終わって仕事に戻ったヴァランダーを待ち受けていたのは、花屋の家宅侵入の通報だった。店主は旅行中で盗まれたものはない。次は一人暮らしの老人が失踪した疑いがあるとの訴え。一見些細な二つの事件。だが老人が串刺しの死体で発見されるに至り、事件は恐るべき様相を見せはじめる。CWAゴールドダガー受賞作シリーズ第六弾。
【下巻】殺された老人の金庫に入っていた、傭兵と思われる人物の日記。捜査を進めるヴァランダーのもとに、父親急死の報が。せっかく心を通わせることができた矢先だというのに…。だが哀しみにひたっているひまはなかった。行方不明の花屋の主人が遺体で発見されたのだ。監禁されたのち殺されたらしい。新たな連続殺人の幕開けなのか。現代社会の問題をあぶり出す、北欧ミステリの真髄。


ヴァランダーシリーズの6作目。

最初の頃に、うじうじしているのがなぁんかイマイチと思っていたヴァランダーですが、それも人間らしさと思えるようになっているこの頃。

警察官であることを逡巡していたのが、今は警察官以外のことは出来ないと腹をくくっている模様なせいかもしれない。

日本人的感覚からするといつもいつも父親に電話しなくてはと思っていた父親の急死は胸にこたえる。この小説はマンケルが50歳前くらいに書いているみたいだから、丁度そういう年ごろでもあるよね。

読めば読むほど、優秀な刑事にして、人間らしさも失われていないヴァランダーが好きになる。

(今回のテーマは『ミレニアム』に通じるところもあるんだけど)その動機が、そこまでの犯罪につながるのか、少々疑問は感じなくもなかったかな。


ああしかし。残りの作品が少なくて寂しい。

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殺人者の顔 Mördare utan ansikte (1991)
リガの犬たち Hundarna i Riga (1992)
白い雌ライオン Den vita lejoninnan (1993)
笑う男 Mannen som log (1994)
目くらましの道 Villospår (1995):英国推理作家協会賞(CWA賞)最優秀長編賞。
五番目の女 Den femte kvinnan (1996)
背後の足音 Steget efter (1997)
ファイアーウォール Brandvägg (1998)
霜の降りる前に Innan frosten (2002)
Pyramiden (1999)
Den orolige mannen (2009)

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