S.J. ローザン( S.J. Rozan)(著)、 直良 和美 (翻訳)

再読。

深夜ブロンクスの老人ホームで警備員が殴り殺された。手口から地元の不良グループの仕業と判断されたが、納得がいかない被害者のおじは探偵ビルに調査を依頼。かつて探偵の手ほどきをしてくれた老兵の頼みに、ビルは危険な潜入捜査を展開するが…?無鉄砲で繊細な中年探偵が、相棒リディアの存在を胸に、卑しき街を行く。シェイマス賞最優秀長編賞に輝いた、爽やかな第二弾。


こちらはニューヨークをベースとする、ビルとリディアのストーリー。

これは何年前に読んだんだろうか。
ビルのバージョンは『冬そして夜』しかり、トラブルが起きていてもどこかシーンとした悲しみが流れていて。

何度読んでもビルは素敵だと思う。

この第2作(ビルが主人公の1作目)を読み返してみると、こうやって少しずつビルについて語っていたのだなぁと懐かしくなる。

そして、ペレケーノスとはまた違う意味で(あるいは同様に)、クラシック音楽に詳しくない私は全編通して触れられるピアノ・ソナタにもっと馴染みがあれば良かったのに、と残念な気持ちになる。

若い頃からそれなりに音楽を聴いてきたつもりなのに、クラシックは全く詳しくないし、アメリカで70年代、80年代にラジオで掛かる音楽は流石によく分らなくて。音楽好きとしてはかなり残念な気持ち。しょぼりんぬ。




【追記】タイトルについて書き忘れてた。
これ原題が"Concourse" で著者の公式ウエブサイトで作品の概略が↓↓と記されている。"And at the end of the avenue called the Grand Concourse is the place people go to die, the Bronx Home for the Aged."

でも明らかにGrand Concourseの土地勘とか道の感覚が分からないと、concourse〔訳:(駅などの)コンコース、中央広場、中央ホール〕では、???というタイトルになってしまう。なので邦題のピアノ・ソナタは事件とは関係ないけれどビルを表す素敵なタイトルということになるかな。

It flows through the Bronx like a river between banks of faded elegance. And at the end of the avenue called the Grand Concourse is the place people go to die, the Bronx Home for the Aged.
The only trouble is the people dying there are going before their time.

Bill Smith has been hired by an old friend to investigate the brutal killing of a young security guard on the Bronx Home grounds.

Going undercover, Smith wades out into a sea of violence and lies washing up against the old brick building. When a second murder is committed, Smith knows that there’s a method to the madness.

With the help of bright, young Chinese-American investigator Lydia Chin, Smith uncovers a web of corruption that’s found a home in the Bronx. Now he has to figure out who will die next.

コメント

hana
2018年3月1日0:32

はにゃ。さん^^

この作品を紹介して頂いて、読んだことを思い出します。
私は音楽に通じていないので、ピアノ曲が出てくる度にyoutubeを開いて聴いていました。 いい作品ですよね。読後感が良くって、余韻を愉しめました。

同じくご紹介頂いた『そして夜』は、今確かめたら152頁で止まってました、何故かしら?……。『チャイナタウン』も手元にあるんです。
読み終えたら、またご報告させて下さい。

はにゃ。
2018年3月1日14:02

>hanaさま
私も!全てではないですが、youtube で聴きながら再読してました。

でも、読みながら「あー、シューベルトかー。なるほどね」みたいに思えたらもっと良かったのになぁと思ったりするのでした。ジャズだと多少ね、そういう感覚があったりするので。

『冬そして夜』は実は私も(英語版ですが)一度途中で挫折してるので、ちょっとだらける感じがあるのかな?でもトータルではこの『ピアノ・ソナタ』と同様にほろ苦く、でもビルに対する愛情が増す(笑)素敵な作品だと思います。是非是非。

S.J.Rosanは日本独自の短編集も編まれたくらいにそこそこ人気があると思うのですが、このビルとリディアのシリーズは著者が書くのを止めてしまって他のシリーズに掛かっているのが悲しいです。続き書いてくれないかなぁ・・・。

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