『それを愛とは呼ばず』
2017年11月18日 読書桜木 紫乃
やっぱり、桜木紫乃は良い。好きだ。
『バター』も読んだけど、木嶋佳苗的なモチーフも、桜木紫乃に掛かるとかように変わる。
透明な狂気。
レビューの通りに、えっ?というラストだけれど、ハッピーエンドなんかよりずっと良い。桜木紫乃にますます嵌まってゆく。
妻を失い故郷を追われた男。夢を失い東京に捨てられた女。交わるはずのない二人が出会ったとき、運命の輪が大きく軋み始めるーー。
「いざわコーポレーション」の社長であり、10歳年上の妻である章子が、64歳の誕生日の夜、交通事故にあった。意識不明のまま眠り続ける妻の他、社内に人脈を持たぬ亮介は、会社から、そして新潟から追われる。新たな職を得た記念に訪れた銀座のグランドキャバレーで、席についた紗希もまた、その日、19歳で上京してから10年目、タレント事務所からクビを宣告されたのだった。寄る辺ない心を抱えながら出会った二人は、微かに互いを意識しながら別れる。ひと夏に6戸の販売目標を与えられた北海道のリゾートマンションで亮介が目にしたのは、廃墟同然の新古物件だった。絶望感にかられる亮介を追って、東京から紗希がやってくるーー。実に1年半ぶり、直木賞受賞後初の長編は、まさに桜木ワールドの真骨頂! 誰もが懸命に生きているだけ。悪い人がいるわけではないのに、それぞれが報われない。切なさと、最初から流れているどうにも逃げられない不穏な空気……。そして最後に用意された、度肝を抜かれるラスト……! 緊迫感と圧倒的なドライブ感で駆け抜ける、最高傑作!
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妻を失い、仕事を奪われ、故郷を追われた54歳の経営者。夢を失い、東京に敗れた29歳のタレント。そしてふたりは、出会ってしまった。狂気を孕んでゆく女の純粋は、男を搦めとり、その果てに―。想像の範疇をはるかに超えるこのラストを、あなたは受け止められるか?桜木紫乃、最高傑作。
やっぱり、桜木紫乃は良い。好きだ。
『バター』も読んだけど、木嶋佳苗的なモチーフも、桜木紫乃に掛かるとかように変わる。
透明な狂気。
レビューの通りに、えっ?というラストだけれど、ハッピーエンドなんかよりずっと良い。桜木紫乃にますます嵌まってゆく。
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